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Q&A

General Question

Q :
合理的選択や取引費用が0、完全な情報など現実とは異なる想定が設定されているのでは?
A :
取引費用など情報が明らかになれば導入が可能となる要素はあります。合理的選択や情報の完全性はモデル特有のものであり、結果の解釈において留意すべき点ですが、これが原因でモデル分析が劣るという批判は当たらないと考えています。

AIM/Enduse Model

Q :
技術選択モデルでは、需要の変化による価格変化が想定されていないのでは?
A :
Enduseでは需要の変化に応じた価格変化を内生的に決定することはできませんが、外生的に想定した将来の価格変化を考慮することはできます。しかしながら、2003年、2004年に行われた我が国を対象として分析では、将来の技術価格の変化について考慮せず、技術価格は一定であると想定してシミュレーションを行っています。その理由は次の通りです。
特定の機器について需要の増加が生じた場合、供給との均衡により価格上昇が起こります。反面、補助金対象機器は新技術であるため、需要の増加は量産効果による価格が低下を生み出します。新技術の場合、価格低下効果の大きいと予想されますが、この効果は上確実であるため、シミュレーションでは将来の価格低下を考慮しませんでした。

Q :
現実の社会で機器選択は経済性のみで行われるのか?
A :
Enduseモデルの技術選択モジュールは、エネルギー価格や投資回収年数の想定のもと、ランニングコストと初期費用の組み合わせが最も安い技術が選択されると想定しています。2003年、2004年に行われた我が国を対象とした分析では投資回収年数を原則3年と想定しています。
各主体は、特に一般消費者は、デザインや機能なども考慮して製品を選択しており、経済性のみの判断で購入選択を決定している訳ではありません。しかし、、デザインや機能などを重視する層のほか、環境面に優れた製品であることを重視する消費者や経済性を重視する消費者もいて、以前行ったアンケートやヒアリング調査では平均すると投資回収年数は概ね3年程度ありました。

Q :
原子力の想定(2010年までに8基増設)はどういった根拠があるのか?
A :
平成15年度供給計画(資源エネルギー庁)の原子力開発計画に基づいています。具体的には、以下を想定しています。
  • 北海道 泊3(91.2万kW;運用開始:09/12)
  • 東北 東通1(110万kW;運用開始:05/7)
  • 東京 福島第一7(138万kW;運用開始:09/10)
  • 東京 福島第一8(138万kW;運用開始:10/10)
  • 中部 浜岡5(138万kW;運用開始:05/1)
  • 北陸 志賀2(135.8万kW;運用開始:06/3)
  • 中国 島根3(137.3万kW;運用開始:10/3)
  • 電発 大間(138.3万kW;運用開始:10/7)

AIM/Material Model

Q :
来年のGDPの予測もできないのに、GDPへの影響を0.1%単位で予測できないのでは?
A :
本来の目的は、将来の予測ではなく、想定されている社会に対して温暖化対策税を導入したときの変化を見ることにあります。少なくとも2002年までの実績値の傾向は再現できており、対策による変化の傾向(変化の幅は小さいということ)は示すことができると考えています。

Q :
国産品と輸入品は完全に代替されず、高い炭素税でも国産品が鎖国的に循環するのか?
A :
物質収支を勘案して、国産品と輸入品のシェアは各年においてあらかじめ想定された値に固定されています。ただし、各年における国産品と輸入品のシェアは、世界モデルの結果から炭素税率に応じて年毎に変更していますので、鎖国的に循環させているという批判は当たりません。

Q :
炭素税が入ると高炉鋼が電炉鋼に置き換わるのか?
A :
モデルの各生産部門では、産業連関表を使用していることから平均化したものを使用しており、基本的な構造は変化しないと仮定しています。このため、特定の高炉鋼から電炉鋼に生産構造が変化するという想定は行っていません。

Q :
雇用変化が瞬時に起こるのか?
A :
雇用は流動的という前提を想定していますが、結果は1年ごとの雇用変化であり、「瞬時に《起こるというものではありません。また、職業移動の自由は保障されてはいますが、無制限に移動できるというものではなく、賃金や設備との関係で決定されています。

Reference Material

温暖化対策をめぐる議論*試算結果への批判に答える
(増井利彦 国立環境研究所ニュース24巻1号 平成17年(2005)4月発行)

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