About AIM

AIMモデルについて

アジア太平洋統合評価モデル(AIM)は温室効果ガス排出(AIM/emission)モデル、グローバル気候変動(AIM/climate)モデル、気候変動影響(AIM/impact)モデルの3つの主要なモデルから構成されます。AIM/emissionモデルは温室効果ガス排出量を推計し、温室効果ガス削減政策の選択肢を評価します。AIM/climateモデルは大気中の温室効果ガス濃度を予測し、全球平均気温を推計します。AIM/impactモデルはアジア太平洋地域の自然環境および社会経済に対する気候変動の影響を推計します。

この研究プログラムは国家、地域そして地球規模における政策検討に大きく貢献するものです。AIMモデルはIPCCにおいて世界および地域の排出シナリオおよび地域における影響評価を行うために使用されています。AIMモデルは排出シナリオおよび影響評価の国際比較のためのスタンフォードエネルギーモデリングフォーラムにおいて評価されました。その他に、エコアジア(アジア環境閣僚会議)、UNEPの地球環境概況報告書そしてアジア太平洋ネットワークプログラムにも貢献しています。

AIMモデルの歴史

世界的な気候変動はアジア太平洋地域の社会・経済に対して大きな影響を与えると予測されており、さらに世界的な気候変動に対応するための措置を講じることは甚大なる経済的負担を地域に強いることになります。また、もしアジア太平洋地域が対応策の選択に失敗した場合に、アジア太平洋地域の温室効果ガス排出量は次世紀の終わりまでに地球全体の排出量の半分を占めるまでに増えると推計されています。

このような深刻で長期にわたる脅威に対応するために、地域の政策立案者および科学者が使えるコミュニケーション・評価ツールを創設することが絶対的に必要となります。統合評価はこのような集団間の交流を拡充させる効果的なツールのうちの一つであり、広範囲にわたる領域からの情報を結びつける便利な枠組みを提供します。アジア統合評価モデル(AIM)は地域における統合評価のプロセスを発展・促進するために開発された大規模なコンピュータシミュレーションモデルです。

このモデルの主な目的は、温室効果ガス排出量を削減と気候変動の影響回避という二つの視点から、全地球的気候を安定させる政策の選択肢を評価すること(特にアジア太平洋地域)です。

AIMモデルはいくつかの際立った特徴があります。

  1. 排出、気候そして影響のモデルを統合する
  2. 州及び全国レベルでの詳細評価のためのカントリーモジュール、個別のモジュール間の整合性を確保するグローバルモジュールの両方を兼ね備えている
  3. ボトムアップのナショナルモジュールとトップダウンのグローバルモジュールを統合する
  4. 代替の政策を評価するよう設計されている
  5. 導入される先端技術の効果を評価するための詳細な技術選択モジュールを含む
  6. ローカルレベルの影響の分布を評価・描写する詳細な地理情報システムからの情報を使用する
  7. アジア太平洋地域に焦点を当て、国際研究機関の共同ネットワークに基づいている

このモデルは当初、気候変動の問題に応えるために開発されましたが、その他の争点、局所的な大気汚染問題、酸性雨の問題、森林管理政策やその他エネルギー、農業そして水資源管理の問題などにも適用することができます。

AIMを開発する研究プロジェクトは1990年、国立環境研究所と京都大学の松岡教授とが共同して始めたものです。1年間の予備的研究を経て、1991年から本格的な研究を開始し、AIMモデルの主なモジュールは3年で完成しました。1994年、プロジェクトはアジア諸国の有数の研究機関と合同で国モデルとして開発される国際協力プロジェクトに拡大されました。これらの国モデルは地域及びグローバルモデルと統合されます。この共同研究プログラムは1997年からさらに3年延長され、広範囲にわたる影響と政策選択肢のより詳細な評価を提供するよう拡充されました。

研究プログラムはすでに国や地域、世界的レベルの政策検討に大きく貢献しています。AIMモデルは世界および地域の排出量シナリオをIPCCに提供するために使用されました。AIMを使用した影響評価はIPCCの地域における評価のための影響作業部会で使用されました。また、AIMモデルは排出シナリオおよび影響評価の国際比較のためのスタンフォードエナジーモデリングフォーラムでも使用されました。地域レベルにおいては、AIMはエコアジア(アジア環境閣僚会議)において代替政策の評価のための組織内モデルとして採用されました。政府はAIMモデルを炭素税や、技術助成金、消費行動の変化といった政策の評価に採用しています。その他にもUNEPの地球環境概要プログラム、欧州グローバルモデリングフォーラムやアジア太平洋ネットワークプログラムなどでAIMは採用されています。

この報告はAIMに含まれる各モジュールの主要グループからの結果の概要を示します。3つの主要なモデルは排出プロセス、気候変動プロセスそして結果として生じる影響を示します。排出モデルはいくつかの国モジュールを含み、複数のガスの排出量を推計します。気候変動モデルは多くの炭素サイクルの性質と気象現象を統合します。影響モデルは排出モデルと気候変動モデルの相互作用からくる重要な影響を説明します。

この研究プログラムは環境省の地球環境研究総合推進費から助成を受けています。この助成は高く評価され、アジア太平洋地域に住む人々の将来の幸福改善に努める研究者と政策立案者の国際的なネットワークを作り上げるために役立てられています。

アイデアの交換と共有をしてくださった国際的なモデリングコミュニティに感謝いたします。また編集の支援をしてくださったポール・パーカー教授にも感謝いたします。

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